イノベーション・インターンシップ100

2015年10月、安倍晋三総理大臣及びマニュエル=ヴァルス首相によって「日仏イノベーション年」立ち上げの共同宣言が行われた。当キャンペーンはイノベーション分野、つまり新技術に関わる分野での共同研究や開発、イベントの開催という形で実現される。当然、先端技術の研究開発が要点となるが、今回のイノベーション年で取り上げられる内容は多彩で意外な項目を含んでいる。中でも、美食とアートといったものがイノベーション関連事業として認められている点は特筆すべきことである。若手エンジニアや金融マンのみならず、アーティスト、職人等の様々な分野で活躍する人々が参加できるという呼びかけなのだ(フランス経済の国際化を促進する国の機関である貿易投資庁ビジネスフランスのサイトを参照 )。 

しかし、分野によって採用条件や契約形式が大きく異なり、日本の有望な人材をフランスに引き寄せるためには、これらを統一する仕組みが必要となる。そうして生まれたのが「イノベーション・インターンシップ100」と呼ばれる事業で、フランス政府留学局キャンパスフランスがその運営を任された。キャンパスフランスとは教育省、外務省の管轄下にある機構で、日本への留学を促進するイベント「スタディー・イン・ジャパン」を、2015年11月に開催している。 

本事業は日本人学生もしくは30歳未満の既卒者にフランスにおけるインターンシップを通して、最も革新的なフランス企業を知る機会を提供するというものである。分野は多岐にわたり、科学技術、産業、金融、美食、アート、マーケティング、マネージメント等、イノベーションに関わる分野で経験を積むことができる。ビザに関しては、ワーキングホリデービザの取得のみで渡航が可能となり、複雑な手続きは要求されない。現在募集中の求人43件はほぼ全て大手企業によるものであり、美食、アート分野の募集は見られない。また、修士レベルの能力が期待されている求人が多いと言える。しかし、2014に締結された相互認証協定により、フランス、日本の大学間における履修、学位、単位の相互認証の動きが進み、本プログラムの人材選定の効率化に貢献していると言える。

現時点では、求人43件の内、実際に採用された学生は7名であり、募集に対し全体の約16%しか採用者は出ていない。100人という目標にはまだ遠いが、書類手続きが多いとして知られるフランスにしては、本制度は柔軟と言えるのではないだろうか。

日本側にはこういった事業は見られないが、外国から人材を誘致する特別経済区域(通称特区)制度に似たような取り組みが見られる。

日仏イノベーション年は2016年で閉幕するが、その中で生まれた取り組みやアイディアが2020年の東京オリンピックに向けて展開し活かされる事が期待される。

 

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CAMPUS FRANCE STAGE INNOVATION

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パリ第二大学、経済学部,経済分析専攻、ロボット産業を中心に研究を行う。 現在通訳として、ビジネスインテリジェンス関連分野で活躍。 ブログ”東西思想凌駕の記”にて日仏記事を執筆。